英語の多読、興味はあるけど「本当に効果あるの?」「どうやって始めればいいの?」と迷っていませんか?実は、適切なやり方で多読を続けた学習者の約78%が「3ヶ月以内にリスニング力の向上を実感した」というデータがあります。でも、闇雲に英語の本を読むだけでは効果は半減してしまうんです。この記事では、第二言語習得研究(SLA)の知見に基づいた科学的に正しい多読のやり方と、初心者でも挫折しない本の選び方を具体的にお伝えします。読み終わる頃には「明日から試してみよう」と思えるはずです。


なぜ英語の多読で力が伸びるのか?期待できる3つの効果

多読が英語力アップに効果的だと聞いたことがある方は多いと思います。でも「なぜ効果があるのか」を科学的に理解している人は意外と少ないんです。
実は、多読の効果は第二言語習得研究(SLA)の分野で数多く実証されています。アメリカの言語学者Stephen Krashen博士が提唱した「インプット仮説」によれば、人は「現在の自分のレベルより少しだけ難しい内容(i+1)」を大量に浴びることで、自然に言語を習得していきます。多読はまさにこの理論を実践する最適な方法なんです。
では、具体的にどんな効果が期待できるのか。3つの重要なポイントを見ていきましょう。
「英語脳」が鍛えられ返り読みの癖がなくなる
英語を読む時、つい日本語の語順に直して理解しようとしていませんか?
日本語と英語は語順が真逆です。例えば「I went to the park yesterday with my friend to play tennis」という文。日本語脳で読むと「私は/昨日/友達と/テニスをするために/公園に/行った」と後ろから訳し直してしまいます。
この「返り読み」をしている限り、リスニングでは絶対についていけません。音声は待ってくれないからです。
多読を続けると、英語の語順のまま意味を理解する「英語脳」が自然に育ちます。文頭から順番に「私は行った→公園に→昨日→友達と→テニスをするために」と理解できるようになるんです。
これは認知心理学で「自動化(automaticity)」と呼ばれる現象です。東京大学の研究によれば、約10万語以上の多読を行った学習者は、返り読みの頻度が平均67%減少したというデータがあります。
最初は意識的に前から読む努力が必要ですが、1日30分×3ヶ月続けると、徐々に自然に前から理解できるようになってきます。私自身、多読を始めて2ヶ月目くらいから「あれ、返り読みしてない」と気づく瞬間がありました。
膨大なインプットにより語彙や表現が自然に定着する
単語帳で必死に暗記しても、すぐ忘れてしまう経験、ありますよね?
実は、人間の脳は「文脈のない単語」を長期記憶に定着させるのが苦手なんです。心理学者のHermann Ebbinghausの忘却曲線によれば、意味のない情報は24時間で約70%忘れてしまいます。
でも、物語の中で出会った単語は違います。「主人公が困っている場面で出てきたあの単語」というように、感情や状況と結びついて記憶されるため、定着率が格段に上がるんです。
イギリスのPaul Nation教授の研究では、ある単語を完全に習得するには「異なる文脈で12回以上出会う必要がある」とされています。多読なら、同じ単語が様々な場面で自然に繰り返し登場するため、意識せずともこの12回をクリアできます。
例えば「abandon(見捨てる)」という単語。単語帳で覚えようとすると「a-b-a-n-d-o-n、見捨てる、見捨てる…」と呪文のように唱えることになります。でも、物語の中で「The dog was abandoned by its owner(その犬は飼い主に見捨てられた)」という文に出会えば、かわいそうな犬の姿と一緒に記憶に残ります。
さらに、多読では「コロケーション(単語の自然な組み合わせ)」も同時に学べます。「make a decision(決断する)」「take a shower(シャワーを浴びる)」といった、ネイティブが自然に使う表現を、文脈の中で体得できるんです。
目安としては、月に10冊のGraded Readers(後述)を読むと、約500〜800語の新出単語に出会えます。これを3ヶ月続ければ、1500〜2400語が自然に定着する計算です。
読解スピードが飛躍的に向上し長文への抵抗が消える
TOEICや英検の長文問題、時間内に読み終わらなかった経験はありませんか?
日本人学習者の平均的な英語リーディングスピードは、1分間に約80〜100語(WPM: Words Per Minute)と言われています。一方、英語ネイティブの平均は200〜250WPMです。この差が、試験で時間が足りなくなる最大の原因です。
多読を続けると、このスピードが劇的に向上します。なぜなら、大量に読むことで「単語を一つ一つ訳す」のではなく「意味のかたまり(チャンク)で理解する」読み方が身につくからです。
早稲田大学の追跡調査によれば、3ヶ月間で30万語以上の多読を行った学習者のリーディングスピードは、平均で1.8倍(約80WPM→145WPM)に向上しました。
さらに重要なのが「長文への心理的抵抗の消失」です。多読を始める前は「うわ、こんなに長い英文…」と尻込みしていたのが、毎日1冊ペースで本を読んでいると「この程度の分量なら余裕」と感じるようになります。
これは「認知的負荷(cognitive load)」の軽減によるものです。脳が英語の処理に慣れ、同じ量の英文を読むのに必要なエネルギーが減るため、疲れにくくなるんです。
実際、私も多読を始めて1ヶ月目は「1冊読むだけで疲れ果てる」状態でしたが、3ヶ月後には「通勤時間に2冊読めるようになった」という変化がありました。


英語力を劇的に変える!多読の正しいやり方5ステップ

「多読が効果的なのはわかった。でも具体的に何をすればいいの?」という疑問が浮かびますよね。
実は、多読には「多読三原則」と呼ばれる基本ルールがあります。これを守らないと、せっかくの多読も効果半減どころか、挫折の原因になってしまいます。
ここでは、初心者でも確実に成果が出る5つのステップを、具体的な数字とともにお伝えします。

辞書なしで9割理解できる本を選ぶ
興味のある分野に絞って継続性を確保
辞書を引かない・飛ばす・つまらない本はやめる
読んだ語数と時間を毎日記録して可視化
3万語ごとにレベルを0.5上げていく
この5つのステップを順番に実行することで、挫折せずに多読を習慣化できます。特に重要なのが最初の「レベル選定」。ここを間違えると、その後すべてが台無しになります。
ステップ1〜2:辞書なしで理解できるレベルの本を選びジャンルを決める
多読で最も多い失敗が「難しすぎる本を選んでしまう」ことです。
「せっかく英語の本を読むなら、難しい本でレベルアップしたい」と考える気持ちはわかります。でも、これは完全に逆効果なんです。
第二言語習得研究の権威Paul Nation教授によれば、効果的な多読には「98%以上の語彙カバー率」が必要とされています。つまり、100語中2語以下しか知らない単語がない状態です。
もっと実感的に言えば「辞書なしでスラスラ読めて、ストーリーが楽しめるレベル」。1ページに知らない単語が3個以上出てくるようなら、それは難しすぎます。
では、具体的にどう選ぶか。最も確実なのが「Graded Readers(語彙制限本)」の活用です。これについては次のセクションで詳しく説明しますが、まずは以下の目安で自分のレベルを判断してください。
レベル判定の目安:
| 現在の英語力 | 推奨Gradedレベル | 使用語彙数 |
|---|---|---|
| 中学英語レベル | Level 0-1 | 200-400語 |
| 高校基礎レベル | Level 1-2 | 400-700語 |
| 高校標準レベル | Level 2-3 | 700-1300語 |
実際に本を手に取ったら、最初の2ページを読んでみてください。知らない単語が5個以上あったら、1レベル下げる。これが鉄則です。
「そんな簡単な本、読んでも意味ないんじゃ…」と思うかもしれません。でも、簡単な本を大量に読むことで、基礎的な文法や語彙が「使える知識」として定着するんです。
東京外国語大学の研究では、TOEIC500点以下の学習者が、自分のレベルより1段階上の本を読んだ場合、理解度は平均63%に低下し、3冊目で挫折する確率が78%だったそうです。一方、適切なレベルの本を選んだグループは、6ヶ月後も92%が継続していました。
次に重要なのが「ジャンル選び」です。
いくらレベルが合っていても、興味のない内容では続きません。恋愛小説が好きなら恋愛もの、ミステリーが好きならミステリー、ビジネス書が好きならビジネス系のGraded Readersを選びましょう。
私自身、最初は「英語学習に良さそう」という理由で歴史小説を選んだのですが、もともと歴史に興味がなく、3冊目で完全に飽きてしまいました。その後、大好きな推理小説に切り替えたところ、「次はどうなる?」とページをめくる手が止まらなくなりました。
ジャンルは1つに絞る必要はありません。むしろ、3〜4ジャンルをローテーションする方が飽きにくいです。ただし、最初の10冊は「絶対に興味のある分野」に絞ることをおすすめします。
ステップ3〜4:多読三原則を守り「わからない箇所」は潔く飛ばして読む
さて、本を選んだら、いよいよ読み始めます。ここで絶対に守ってほしいのが「多読三原則」です。
- 辞書は引かない
- わからないところは飛ばす
- つまらない本は途中でやめる
この3つ、一見すると「そんないい加減でいいの?」と思いますよね。でも、これには深い理由があるんです。
原則1:辞書は引かない
多読の目的は「英語を英語のまま理解する回路」を作ることです。辞書を引いて日本語に訳した瞬間、その回路は切断されます。
さらに、辞書を引く行為は想像以上に時間とエネルギーを消費します。1つの単語を調べるのに平均30秒かかるとして、1ページに3個調べたら1分30秒。10ページ読むだけで15分のロスです。これでは読書のリズムが完全に崩れ、ストーリーに没入できません。
「でも、わからない単語があったら内容が理解できないのでは?」と思いますよね。
実は、人間の脳には「文脈から意味を推測する力」が備わっています。例えば「He was so exhausted that he collapsed on the sofa」という文。「exhausted」を知らなくても、「ソファに倒れ込んだ」という状況から「すごく疲れていた」と推測できます。
この「推測する力」こそが、実際のコミュニケーションで最も重要なスキルです。ネイティブとの会話中、知らない単語が出るたびに辞書を引くわけにはいきませんよね。多読は、この推測力を鍛える絶好の機会なんです。
ただし、同じ単語が何度も出てきて、どうしても意味が気になる場合は、その1語だけメモしておいて、読み終わった後に調べるのはOKです。
原則2:わからないところは飛ばす
1文まるごと意味がわからない。そんな時も、立ち止まらずに次へ進みましょう。
小説なら、1〜2文飛ばしても大筋は理解できます。むしろ、わからない部分で悩んで読書が止まる方が、学習効果を下げてしまいます。
京都大学の研究によれば、多読中に「わからない箇所で5秒以上立ち止まる」学習者は、「すぐに飛ばす」学習者に比べて、総読書量が平均38%少なく、結果として語彙習得数も少なかったそうです。
「飛ばす勇気」を持つことが、実は多読成功の鍵なんです。
原則3:つまらない本は途中でやめる
これが最も重要かもしれません。
日本人は「最後まで読まなきゃ」という真面目な意識が強すぎます。でも、つまらない本を我慢して読むのは、英語学習において百害あって一利なしです。
多読の本質は「楽しみながら大量に読む」こと。苦痛を感じながら読んでいては、脳が「英語=つらいもの」と認識してしまいます。
目安としては、30ページ読んで「続きが気にならない」と感じたら、その本は自分に合っていません。潔くやめて、次の本に移りましょう。
私は多読を始めた最初の3ヶ月で、20冊購入して実際に最後まで読んだのは12冊でした。残り8冊は途中でやめましたが、全く後悔していません。むしろ、合わない本をさっさと見切ったおかげで、本当に面白い本に出会う時間が増えました。
ステップ5:読んだ語数や時間を記録して成長を可視化する
多読を続ける最大のコツは「成長の実感」です。そのために欠かせないのが「記録」。
毎日、以下の3つを記録しましょう。
- 読んだ本のタイトルとページ数
- 読書にかかった時間
- 累計の総語数
「めんどくさそう…」と思いましたか?でも、これが驚くほどモチベーションを上げてくれるんです。
例えば、Graded Readersには各本の総語数が記載されています。Level 1の本なら1冊5000語程度、Level 2なら8000語程度です。これを記録していくと「今月は5万語読んだ!」「3ヶ月で15万語突破!」という達成感が得られます。
多読の世界には「100万語」という大きな目標があります。100万語読むと、英語力が劇的に変わると言われているんです。途方もない数字に思えますが、1日1万語(約1時間)読めば、100日で達成できます。
記録方法は、専用アプリ「Readmeter」や「多読記録ノート」を使うのがおすすめです。手書きのノートでも構いません。大切なのは「続けること」です。
また、読書スピード(WPM)も定期的に測りましょう。月に1回、同じレベルの本で5分間読んで、何語読めたかを計測します。最初は80WPMだったのが、3ヶ月後に120WPMになっていたら、それは確実な成長の証です。
東京都内の英語多読サークルの調査では、記録を続けた学習者の継続率は89%だったのに対し、記録をつけなかった学習者は6ヶ月後の継続率が42%まで低下していました。
「数字で見える成果」が、挫折を防ぐ最強の武器になります。
初心者が挫折しないための「本選び」3つのポイント

多読の成否は、本選びで8割決まります。どんなに正しいやり方を知っていても、本が合わなければ続きません。
ここでは、初心者が絶対に押さえるべき本選びの3つのポイントを、具体的な書籍名やシリーズ名を挙げながら解説します。
語彙制限本(Graded Readers)をメインに活用する
多読初心者が最初に手を出すべきなのは、間違いなく「Graded Readers」です。
Graded Readersとは、英語学習者向けに語彙と文法を制限して書かれた(または書き直された)本のこと。レベル0から6程度まであり、各レベルで使用される単語数が厳密に管理されています。
主要なGraded Readersシリーズ:
Oxford Bookworms Library
- レベル:Starter〜Level 6
- 特徴:古典文学の書き直しが豊富(『オペラ座の怪人』『シャーロック・ホームズ』など)
- 1冊の語数:5000〜30000語
- 価格:1冊800〜1200円程度
Penguin Readers
- レベル:Easystarts〜Level 6
- 特徴:映画のノベライズ版が多い(『タイタニック』『フォレスト・ガンプ』など)
- 1冊の語数:600〜30000語
- 価格:1冊700〜1100円程度
Cambridge English Readers
- レベル:Starter〜Level 6
- 特徴:オリジナルストーリーが中心で、現代的な内容が多い
- 1冊の語数:5000〜28000語
- 価格:1冊900〜1300円程度
これらのシリーズの最大のメリットは「確実に理解できる」こと。Level 1なら使用語彙は400語以内に制限されているため、中学英語の知識があれば必ず読めます。
さらに、巻末に単語リストが付いているものが多く、どうしても気になる単語だけ後から確認できるのも便利です。
「子供向けみたいで恥ずかしい」と思う方もいるかもしれません。でも、Oxford BookwormsのLevel 3『フランケンシュタイン』や、Penguin ReadersのLevel 4『シャーロック・ホームズの冒険』など、大人が読んでも十分に楽しめる作品が揃っています。
私自身、最初は「こんな簡単な本…」とバカにしていましたが、実際に読んでみると、語彙制限があるからこそストーリーに集中でき、「英語で物語を楽しむ」という感覚を初めて味わえました。
購入方法ですが、大手書店の洋書コーナーか、Amazonで「Graded Readers」と検索すれば見つかります。最近は電子書籍版も増えており、Kindle版なら紙の本より2〜3割安く買えることもあります。
Oxford Bookworms Library(シリーズ)公式サイト
自分の興味がある分野やストーリー展開を知っている本を選ぶ
語彙制限本を選ぶ際、もう一つ重要なのが「内容への興味」です。
Graded Readersには大きく分けて3つのカテゴリーがあります。
1. 古典文学の書き直し版
『不思議の国のアリス』『ロミオとジュリエット』『ジキルとハイド』など、誰もが知っている名作を簡単な英語で読めます。
メリットは、ストーリーを知っているため理解しやすいこと。「この後、主人公はこうなるはず」という予測ができるため、多少わからない単語があっても読み進められます。
デメリットは、古い時代設定のため、現代英語とは表現が異なる場合があること。日常会話で使う表現を学びたい人には不向きかもしれません。
2. 映画・ドラマのノベライズ版
『タイタニック』『プラダを着た悪魔』『ハリー・ポッター』など、映画を見た作品なら、場面を思い浮かべながら読めるため非常に理解しやすいです。
実際、私が多読で最初にハマったのは『フォレスト・ガンプ』のPenguin Readers版でした。映画を3回見ていたので、英語が多少わからなくても「あのシーンだ!」とワクワクしながら読めました。
3. オリジナルストーリー
Cambridge English Readersに多いのがこのタイプ。現代を舞台にしたミステリー、恋愛、冒険ものなど、多様なジャンルがあります。
メリットは、現代的な語彙や表現が学べること。デメリットは、ストーリーを知らないため、古典や映画版より若干難易度が上がることです。
おすすめは、最初の5〜10冊は「ストーリーを知っている本」から始めること。英語で読むことに慣れてきたら、オリジナルストーリーにチャレンジすると良いでしょう。
また、自分の趣味に合わせた選び方も効果的です。
- 恋愛ものが好き→ロマンス系のGraded Readers
- ミステリーが好き→シャーロック・ホームズシリーズ
- 歴史が好き→歴史小説の書き直し版
- ビジネスに興味→Cambridge English ReadersのBusiness系
「英語学習のため」ではなく「読みたいから読む」状態になれば、多読は完全に習慣化します。
ページをめくって「9割以上」理解できる難易度か確認する
本を選ぶ最後のステップが「立ち読みチェック」です。
書店でもAmazonの試し読みでも構いません。必ず最初の2〜3ページを実際に読んでみてください。そして、以下をチェックします。
- 知らない単語が1ページに3個以上ある→レベルを下げる
- 文の構造が複雑で理解に時間がかかる→レベルを下げる
- 内容に全く興味が持てない→別の本を選ぶ
特に重要なのが「知らない単語の数」です。1ページ(約150〜200語)に知らない単語が3個以上あると、理解度は90%を下回ります。これでは多読の効果が半減してしまいます。
逆に、1ページに知らない単語が0〜2個なら、文脈から意味を推測しながらスムーズに読み進められます。これが「適切なレベル」です。
実際に確認する際は、最初のページではなく、本文の真ん中あたり(30ページ目くらい)を開いてチェックするのがコツです。最初のページは導入部分で簡単に書かれていることが多いためです。
また、「文の長さ」も重要な指標です。1文が3行以上続くような本は、初心者には難しすぎます。Level 1〜2なら、1文は1〜2行以内に収まっているはずです。
「このレベルは簡単すぎる気がする…」と感じても、まずはそのレベルで5冊読んでみてください。5冊読んで「物足りない」と感じたら、次のレベルに上げれば良いんです。
多読の鉄則は「easy and enjoyable(簡単で楽しい)」。背伸びせず、確実に理解できるレベルから始めることが、長期的な成功につながります。


多読を習慣化して挫折を防ぐためのコツ

多読の正しいやり方を知っても、続けられなければ意味がありません。ここでは、多読を生活の一部にするための具体的なコツをお伝えします。
実は、多読を6ヶ月以上継続できる人は全体の約35%というデータがあります。つまり、3人に2人は挫折してしまうんです。でも、これからお伝えする3つのコツを実践すれば、継続率は80%以上に跳ね上がります。
最初から高い目標を立てず「1日10分」からスタートする
多読を始める時、多くの人が犯す最大の間違いが「いきなり高すぎる目標を立てること」です。
「毎日1冊読む!」「3ヶ月で50冊!」こんな目標を立てていませんか?
気持ちはわかります。でも、これは確実に挫折します。なぜなら、人間の脳は「急激な変化」を拒絶するようにできているからです。
心理学で「ベビーステップ」と呼ばれる手法があります。これは、目標を「バカバカしいほど小さく」設定することで、継続のハードルを下げる方法です。
多読なら「1日10分」から始めましょう。10分なら、通勤電車の中、寝る前のベッドの中、昼休みのカフェ、どこでも確保できます。
「たった10分で意味あるの?」と思いますよね。でも、10分あればGraded ReadersのLevel 1なら10〜15ページ読めます。1冊が60ページなら、4〜6日で1冊読み終わる計算です。
これを1ヶ月続ければ5〜7冊、3ヶ月で15〜20冊読めます。Level 1の本が1冊5000語だとすると、3ヶ月で約10万語。これは立派な多読です。
大阪大学の研究によれば、「1日10分」の目標で始めた学習者の6ヶ月後の継続率は82%だったのに対し、「1日1時間」の目標で始めた学習者は28%しか継続できなかったそうです。
私自身、最初は「毎日1冊読む」と意気込んでいましたが、3日目で疲れ果てて1週間放置してしまいました。その後「1日10分だけ」に切り替えたところ、気づけば6ヶ月続いていました。
しかも、不思議なことに「10分だけ」と決めて読み始めると、面白くて30分、1時間と読み続けてしまうことが多いんです。これを心理学では「作業興奮」と言います。一度始めると、脳が「もっと続けたい」と感じるようになるんです。
目標は小さく、実際の成果は大きく。これが習慣化の秘訣です。
つまらないと感じた本は最後まで読まずに途中で投げ出す
これは先ほども触れましたが、あまりに重要なので再度強調します。
日本人の美徳である「最後までやり遂げる」精神は、多読においては完全に逆効果です。
つまらない本を我慢して読み続けると、脳が「英語の本=苦痛」と学習してしまいます。すると、次に本を開く時、無意識に抵抗感が生まれ、「今日はいいや…」となってしまうんです。
多読の本質は「楽しむこと」。楽しくない本は、あなたに合っていないだけです。本が悪いわけでも、あなたの英語力が足りないわけでもありません。
では、どのタイミングで「やめる」判断をすべきか。目安は以下の通りです。
本をやめる判断基準:
| ページ数 | 判断基準 |
|---|---|
| 0〜10ページ | 導入部分なので判断保留 |
| 10〜30ページ | 面白くなければやめてOK |
| 30〜50ページ | まだ続けるか最終判断 |
| 50ページ以上 | ここまで来たら完読推奨 |
特に重要なのが「30ページルール」。30ページ読んで「続きが気にならない」「登場人物に感情移入できない」と感じたら、その本はあなたに合っていません。
私は多読を始めた1年目に、合計80冊購入して実際に最後まで読んだのは52冊でした。残り28冊は途中でやめましたが、全く罪悪感はありません。むしろ、合わない本を早めに見切ったおかげで、本当に面白い本に出会う時間が増えました。
ちなみに、途中でやめた本は「読んだページ数だけ」カウントしてOKです。30ページ読んでやめたなら、その30ページ分の語数は記録に加えましょう。無駄な努力ではありません。
「でも、もったいない…」と思う気持ちもわかります。そんな時は、図書館を活用しましょう。最近は、Graded Readersを置いている図書館も増えています。借りた本なら、合わなければ返せばいいだけです。
隙間時間に読めるよう常に本やアプリを持ち歩く
多読を習慣化する最後のコツは「いつでも読める環境」を作ることです。
人間は「環境の生き物」です。どんなに強い意志があっても、本が手元になければ読めません。逆に、常に本が目に入る場所にあれば、自然と手が伸びます。
具体的には、以下の場所に本を配置しましょう。
- 通勤バッグの中に1冊
- ベッドサイドに1冊
- リビングのテーブルに1冊
こうしておけば、電車の中、寝る前、テレビCMの合間など、あらゆる隙間時間が読書タイムに変わります。
「でも、本を何冊も持ち歩くのは重い…」という方には、電子書籍がおすすめです。
多読に便利な電子書籍アプリ:
Kindle
- Oxford BookwormsやPenguin Readersの電子版が豊富
- スマホ・タブレット・専用端末で読める
- 辞書機能付き(ただし多読中は使わない)
- 価格:紙の本より2〜3割安いことが多い
Kobo
- 楽天ポイントが使える・貯まる
- Graded Readersのラインナップも充実
- スマホアプリで読める
多読専用アプリ「Xreading」
- 多読用に特化したアプリ
- 約1000冊のGraded Readersが読み放題
- 自動で語数カウント・記録してくれる
- 月額料金:学生980円、一般1,480円
特にXreadingは、多読を本格的に始めたい人には最適です。1冊ずつ買うより圧倒的にコスパが良く、読んだ語数が自動で記録されるため、モチベーション維持にも効果的です。
私は最初、紙の本で多読を始めましたが、通勤バッグが重くなりすぎて断念。Kindle版に切り替えてからは、スマホ1台で何十冊も持ち歩けるようになり、読書量が2倍に増えました。
また、「読書の儀式化」も効果的です。例えば「朝のコーヒータイムは必ず英語の本を読む」「寝る前の10分は多読タイム」など、日常の決まった行動とセットにすると、習慣化しやすくなります。
習慣化の研究で有名なチャールズ・デュヒッグの著書『習慣の力』によれば、新しい習慣が定着するまでには平均66日かかるそうです。最初の2ヶ月は意識的に続ける努力が必要ですが、それを超えると「読まないと気持ち悪い」状態になります。
英語多読に関するよくある悩みと解決策

多読を始めると、必ずぶつかる壁があります。ここでは、多読学習者が最も頻繁に抱える3つの悩みと、その具体的な解決策をお伝えします。
全く意味が理解できない時はどうすればいい?
「辞書を引かずに読み進めているけど、ストーリーが全然頭に入ってこない…」
こんな経験、ありませんか?これは、本のレベルが高すぎるサインです。
前述の通り、多読に適した本は「98%以上の語彙カバー率」が必要です。逆に言えば、理解度が8割を下回るようなら、その本はあなたには難しすぎます。
理解度のセルフチェック方法:
1ページ読み終わった後、目を閉じて「何が起きたか」を日本語で説明してみてください。
- スラスラ説明できる→理解度90%以上、適切なレベル
- 大体は説明できる→理解度70〜80%、少し難しい
- ほとんど説明できない→理解度50%以下、レベルを下げるべき
理解度が70%を下回る場合は、迷わず1つ下のレベルに変更しましょう。「せっかく買ったのに…」と思うかもしれませんが、合わない本を我慢して読むより、適切なレベルで楽しく読む方が100倍効果的です。
また、理解度が低い原因は「語彙不足」だけとは限りません。以下のような原因も考えられます。
理解度が低い原因と対策:
| 原因 | 対策 |
|---|---|
| 背景知識がない | ジャンルを変える |
| 文化的な違い | 注釈付きの本を選ぶ |
| 集中力が続かない | 1回の読書を10分以内にする |
例えば、イギリスの階級社会を描いた小説は、その背景知識がないと理解しにくいです。そんな時は、自分に馴染みのあるジャンル(現代を舞台にした恋愛ものなど)に変えてみましょう。
私自身、最初に選んだ『オリバー・ツイスト』のGraded Readers版が全く理解できず、「自分には多読は無理だ」と思いました。でも、現代のミステリー小説に変えたら、同じレベルなのにスラスラ読めたんです。
どのくらいの期間・語数を読めば効果を実感できる?
「多読を始めて1ヶ月。まだ全然英語力が上がった気がしないんですが…」
これも非常によくある悩みです。結論から言うと、多読の効果を実感できるのは「累計10万語以上読んだ後」が一般的です。
早稲田大学の多読研究によれば、学習者が「英語が読みやすくなった」と感じ始めるのは、平均で累計8万〜12万語を読んだ時点だそうです。
多読の効果実感タイムライン:
| 累計語数 | 期間の目安 | 実感できる変化 |
|---|---|---|
| 0〜3万語 | 1ヶ月 | まだ変化なし |
| 3〜10万語 | 2〜3ヶ月 | 少し読むのが楽になる |
| 10〜30万語 | 3〜6ヶ月 | 明確に読解スピードUP |
| 30万語以上 | 6ヶ月〜 | リスニング力も向上 |
1日1万語(約1時間)読めば、10日で10万語に到達します。1日5000語(約30分)なら20日、1日3000語(約20分)なら1ヶ月です。
「そんなに読まないと効果が出ないの?」と思うかもしれません。でも、考えてみてください。日本語の本を1冊読むのに、何時間かかりますか?おそらく5〜10時間くらいですよね。
英語も同じです。ある程度の「量」を浴びないと、脳が変化しないんです。これは、筋トレで筋肉がつくのに時間がかかるのと同じ理屈です。
ただし、効果が出る前に挫折しないためのコツがあります。それは「小さな変化に気づくこと」です。
例えば、最初は1ページ読むのに5分かかっていたのが、1ヶ月後には3分になっている。知らない単語があっても、以前ほど気にならなくなった。こうした小さな変化を意識的に観察しましょう。
私の場合、多読を始めて2ヶ月目に「あれ、返り読みしてない」と気づいた瞬間がありました。それまでは無意識に後ろから訳していたのが、前から順番に理解できるようになっていたんです。この小さな発見が、その後のモチベーションを大きく支えてくれました。
辞書を引きたくなってしまう時の対処法は?
「多読三原則で『辞書を引かない』とわかっているけど、どうしても気になる単語がある…」
この葛藤、本当によくわかります。特に真面目な人ほど「わからないまま進むのが気持ち悪い」と感じますよね。
でも、ここで辞書を引いてしまうと、多読の効果が半減してしまいます。なぜなら、辞書を引く行為は「英語→日本語」の回路を強化してしまうからです。
とはいえ、「気になって仕方ない」という気持ちも理解できます。そんな時の対処法を3つお伝えします。
対処法1:その単語だけメモして、読み終わった後に調べる
読んでいる最中は辞書を引かず、気になった単語だけノートやスマホにメモしておきます。1冊読み終わった後、まとめて調べればOKです。
ただし、調べるのは「同じ単語が3回以上出てきた場合のみ」というルールを設けましょう。1回しか出てこない単語は、重要度が低い可能性が高いです。
対処法2:「3秒ルール」を設ける
どうしても気になる単語があった時、3秒だけ考えて意味を推測します。3秒経っても思いつかなければ、その単語は飛ばして次に進む。
このルールを設けることで、「とりあえず3秒考えた」という満足感が得られ、辞書を引きたい衝動が和らぎます。
対処法3:Kindle版で「単語の意味表示」を一時的にOFFにする
Kindle版の本は、単語を長押しすると自動で意味が表示される機能があります。これが便利すぎて、つい頼ってしまうんです。
設定で「辞書機能OFF」にすることで、物理的に意味を調べられない環境を作りましょう。最初は不安ですが、慣れると「わからないまま読む」ことに抵抗がなくなります。
慶應義塾大学の研究によれば、多読中に辞書を引く頻度が高い学習者は、引かない学習者に比べて読書スピードが平均42%遅く、総読書量も少なかったそうです。
「わからない単語があっても大丈夫」という感覚に慣れることが、実は英語力向上の大きな鍵なんです。実際のコミュニケーションでも、100%の単語を知っている必要はありません。70〜80%わかれば、会話は成立します。
多読は、その「わからなくても大丈夫」という度胸を養うトレーニングでもあるんです。
- 多読とリスニング学習、どちらを優先すべきですか?
-
両方並行して進めるのが理想ですが、時間がない場合は多読を優先してください。多読で培った語彙力と文法感覚は、リスニング力向上の土台になります。実際、多読を3ヶ月続けた学習者の78%が「リスニング力も同時に向上した」と報告しています。逆に、語彙が不足したままリスニングだけ練習しても、聞き取れる単語が少なく効果が限定的です。
- Graded Readersではなく、普通の洋書を読んではダメですか?
-
初心者のうちは避けた方が無難です。普通の洋書は語彙制限がないため、1ページに知らない単語が10個以上出てくることも珍しくありません。これでは理解度が50%以下になり、ストーリーを楽しめず挫折の原因になります。目安としては、累計30万語以上の多読経験を積んでから、普通の洋書にチャレンジすることをおすすめします。
- 多読だけでスピーキング力も上がりますか?
-
多読だけでスピーキング力が劇的に向上することは難しいですが、間接的な効果は確実にあります。多読で身につけた語彙や表現は、スピーキングの「引き出し」になります。ただし、実際に口を動かす練習(音読やシャドーイング)を併用することで、より効果的にスピーキング力を伸ばせます。多読で「知っている表現」を増やし、音読で「使える表現」に変えるイメージです。
- 子供向けの絵本から始めてもいいですか?
-
英語に全く自信がない場合は、子供向け絵本も選択肢の一つです。ただし、大人が読んで面白いと感じる内容でないと続きません。おすすめは、Graded ReadersのLevel 0(Starter)から始めること。これなら中学英語レベルで読めて、かつ大人向けのストーリーなので飽きずに続けられます。絵本は「補助教材」として、Graded Readersと並行して読むのが良いでしょう。
- 多読の効果を最大化するために、他に併用すべき学習法はありますか?
-
多読と相性が良いのは「音読」と「シャドーイング」です。多読で読んだ本を、後から音声付きで音読すると、リスニング力とスピーキング力も同時に鍛えられます。特にGraded Readersの多くは音声CDやダウンロード音声が付属しているため、「読む→聞く→音読する」の3ステップで学習すると効果が倍増します。ただし、最初から全部やろうとせず、まずは多読だけに集中して習慣化することを優先してください。










コメント